保育士と聞くと、子ども好きな人が多く、子どもと遊んだり子どもをお世話したりというイメージを持たれる方が多いかと思います。
実際に保育士はどのような仕事をしているのか、保育士になるためにはどのような資格が必要で、
資格取得のためにはどのような知識やスキルを身に付ける必要があるのか、詳しくご存じでない方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、保育士資格について詳しくご紹介していきます。
保育士の仕事内容について
保育士とは、0歳の乳児から小学校就学までの子どもを預かり、保育をするお仕事です。
しかし、単に子どもをお世話するのではなく、心身の発達のお手伝いし社会性を養うことや、食べる、眠る、着替えるなどのお手伝いをし、基本的な生活習慣を身に付けさせることも保育士の大切な仕事です。子どもの一日の中で多くの時間を過ごす保育園では、集団行動や保育士との関わりを通じて言語や行動など多くのことを学ぶことになります。
子どもの成長にとって非常に重要な発達段階の役割を担うことは責任が大きいですが、
その分近くで成長を感じることができる保育士の仕事には他の仕事にはない魅力がたくさんあります。
子どもたちに対して
- 生活習慣を身に付けさせる。
食事、睡眠、トイレトレーニング、衣類の着脱など子どもの発達に応じた手助けを行う。
- 社会性を身に付けさせる
集団行動を通して嬉しい、悲しいという感情や人に対する思いやりなどいろいろな感情が芽生えます。人との関わりや遊びを通して社会性を身に付けるための土台作りをします。
保護者に対して
- 連絡帳の作成
連絡帳には食事、睡眠、トイレトレーニング、など健康面に関することや、どのような遊びをしたのかなど細かく報告します。子どもを預けている保護者の立場になり、繊細なことでも連絡することで保護者との信頼関係を築いていきます。 - 教育のアドバイスをする
中には子育てが初めての保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
日頃の悩みを聞き子育てのプロとしてアドバイスを求められることもあります。
- お便りや配布物の作成
園のイベントやお知らせがある場合、配布物の作成をするのも保育士の仕事です。
その他
- 保育計画書の作成
子どもたちの成長や生活習慣、社会性を身に付けさせるためにどのようなことすればよいのかを考えることも保育士の大切な仕事です。他にも教材を考えたり、イベントを計画したり、保育計画に沿ったイベントなどを考えます。
保育士の仕事内容は?1日のスケジュールを通してご紹介!
保育士の仕事内容は、子どもの身の回りのお世話や発達段階に合わせて、社会性や生活習慣を身に付けさせることです。
そんな保育士の1日のスケジュールの詳細をご紹介します!
時間 | 仕事内容 |
7:00 | 出勤 1日の仕事内容の確認 |
7:30 | 園児をお出迎え 園児が登園してきたら、挨拶を行い、手洗いを済ませ健康状態の確認をする。 保護者ともコミュニケーションをとり、体調など変わりはないか確認する。 |
9:45 | 朝の会 園児と職員全員で朝の会を行い、連絡事項やスケジュールを確認する |
10:00~11:00 | 自由遊び クラスごとに分かれて担任、副担任の先生とクラスに合った遊びやプログラムを行う(歌、お絵かき、プールなど) |
11:00~11:30 | 昼食の準備 給食を配膳したり、園児と手洗いをしたり昼食を食べる準備をする |
11:30~12:30 | 昼食 誤飲はないかなどに注意して園児の食事を見守る。また、好き嫌いはないか、行儀悪くないかなどの指導も行う。 ※アレルギーのある子どもへの注意も怠らないこと |
12:30~13:00 | お昼寝 園児にトイレに行かせてお昼寝の準備をする |
13:00~14:00 | 休憩 お昼寝中の園児の様子を見ながら、休憩をとる。または、連絡帳を記入するなどお迎えの準備もしておく。 |
14:00~14:30 | 起床 園児を起こし、布団のかたづけ、園児をトイレに行かせたりおむつ交換をしたりする。 |
15:00~15:30 | おやつタイム おやつを食べ、食べ終わったら歯磨きをするよう指導をする |
16:00 | 帰りの会 帰りの挨拶をし、保護者が迎えに来るまで自由に遊んで過ごす |
16:00~19:00 | お見送り・掃除 保護者が迎えに来たら1日の様子を伝える。他には教室の掃除や明日の準備などを行う。 |
19:00 | 退勤 園児が降園し掃除や片づけを終えたら、戸締りをして退勤する |
保育士の勤務時間は基本的に8時間のシフト制です。
勤務時間は勤務先によって異なりますが、早朝保育や延長保育を行っている保育園は、
「早番・中番・遅番」でシフトを組んでいる保育園もあります。
【シフト例】
- 早番 7:30~16:30
- 中番 8:30~17:30
- 遅番 9:30~園児が帰宅するまで
シフト構成はこのように組まれていますが、時期によっては、イベントが多く閉園後に準備を行うため、残業が発生することもあります。
保育士になるならピアノ経験は必須?
・結論
ピアノ経験は必須ではありません。
実技の試験科目は、音楽、造形、言語の中から2科目を選択し受験を受けることができます。
そのため、ピアノ経験がなく、不安な方でも造形と言語で試験を受けることが可能なので資格取得することができます。
しかし、実際保育士として働くうえでピアノスキルはあるに越したことはありません。
ピアノを弾きながら一緒に歌うことで子どもたちに音楽の楽しさを教える機会にもなるので、
ピアノのスキルは保育の現場でとても役に立ちます。
また、雇用条件としてピアノが弾けることを条件にしている場合があります。他にも保育士の求人募集には、バイエル終了程度と明確なスキルを求められることもあるので、ピアノ経験があると職場選びの幅を広げることができます。
そのため、ピアノ経験は必須ではなく、ピアノ経験がなくても保育士として働くことは可能ですが、
職場を決める際により幅広い中から選択したいと考える方はピアノのスキルを磨く必要があると思います。
保育士の仕事でやりがいを感じるときや大変だと感じるときは?
保育士の仕事で感じられるやりがい
子どもの成長を感じられる
子どもの成長は早く、昨日まで出来なかったことが突然できるようになったりします。
- はいはいできるようになった
- 1人で立てるようになった
- 言葉をしゃべるようになった
- お友達におもちゃを貸してあげられるようになった
- 泣いている子に声をかけられるようになった
1年を通して成長をそばで感じることが出来るのは保育士の特権でありやりがいでもあります。
その成長を感じた時は保護者と同じようにうれしく感動することでしょう。
保護者から感謝されたとき
保育士として働くうえで保護者の方と信頼関係を築くことは非常に大切です。
保護者から「ありがとうございます」「先生が担任でよかったです」と言われることで、これまで保育で苦労したことや、保護者とのコミュニケーションで苦労したことがすべて報われ、達成感にあふれると思います。
保育士の仕事で大変だと感じるとき
保護者との関係
上記の通り、保育士として働くうえで保護者の方との信頼関係を築くことは大切です。
保育園であった出来事を全て伝えることも子どもを保育する上での責任であるので、
園でけがをしてしまった、友達と喧嘩してけがをしたなど正確に伝える必要があります。
それが時には保護者と保育士のトラブルになることもあります。
また、理不尽な要求や苦情、文句を繰り返すモンスターペアレントの対応に苦難する保育士もいるので、そのような人間関係が大変に感じることもあると思います。
保育士試験の難易度は?合格率や試験内容について徹底解説!
・保育士試験の合格率
保育士試験の合格率は毎年平均20%前後です。
筆記試験9科目全て6割を取らなければならないので、例年合格率は低く、難易度は高いです。
1回で9科目合格できなくても、受かった科目は3年間合格とみなされるので、
長期的に3年間かけて9科目合格を目指しても良いのです。
9科目全て合格できれば実技試験を受けることができます。
実技試験は例年8割の人が合格しているので、保育士試験の難関は筆記試験といえるでしょう。
試験内容
【実技試験】
・音楽表現
・造形表現
・言語表現
上記の中から2つを選択します。
保育士試験の勉強方法は?合格までに必要な勉強時間やスケジュールをご紹介!
保育士資格を取得するために必要な勉強時間は、100~150時間と言われています。
短期的に集中して学習するのであれば、1か月半~2か月で取得することも可能です。
保育士試験の勉強法は3つあります。
独学
独学は費用を節約して資格取得を目指したい方におすすめです。
数多くの参考書の中から自分にあった教材を選ぶことは難しいと思いますが、
テキストや過去問題集全てそろえても1万円ほどに抑えることができるので、
費用を節約したい方は独学で試験にチャレンジすることをおすすめします
通信教育
通信教育はテキスト、試験対策問題集が送られてくるので、独学のように教材選びに困ることはありません。講座によっては添削課題があり、疑問点を質問することもできます。
合格までの標準学習時間は6か月~12か月で設定されている講座が多く、
合格までのサポートを受けることが出来ます。
通学
保育士の専門学校で学習する場合は、2~3年かけて必要な課程を修了し、
卒業と同時に保育士資格を得ることが出来ます。そのため、独学、通信教育とは異なり、
保育士試験を受験しなくて良いので、その点は通学の大きな利点だと思います。
専門学校以外にも短期大学や4年制大学の保育の専攻を取る方法もあります。
保育士になった際の年収は?私立保育士と公務員保育士の違いまで解説!
私立保育士の初任給の相場は21万円程度で時給換算すると、
990円と給与は低い傾向にあります。
政府の統計データによると、保育士の36歳正社員(実務経験7~9年)の平均給与は23万円で、賞与も合わせると年収は平均345万円です。35歳女性の平均年収は459万円なので、平均と比べると給料は低い傾向にあります。
私立保育士と公立保育士の違いについてご紹介します。
運営母体
私立保育士は、学校法人をはじめとした社会福祉法人、NPO法人、民間企業が運営しているのに対し、公立保育士は、地方自治団体が運営しています。
採用基準
一般的に私立保育士は、保育士資格を取得すれば、勤務可能となりますが、
公立保育士の場合、保育士試験を取得するだけでなく、公務員採用試験に合格する必要があります。
このように私立、公立とでは採用基準が異なるので公立保育士を目指される方は注意が必要です。
保育方針
公立と私立では保育の方針が異なり、公立保育園は、
運営母体である各地方自治体によって決められた保育計画に沿った働き方をします。
一方で私立保育園では、各園それぞれが保育方針を策定しているので、英語や、リトミックなどを取り入れることができるので、園児にとっても経験の幅が広がるでしょう。
勤務時間
私立保育園は延長保育や休日保育を行っている園もあるため、勤務は原則8時間ですが、残業で勤務時間が延びることが多いです。
公立保育園の勤務時間は8時~20時までと決められており、また勤怠も管理されているので、
残業することはほとんどありません。
給料
私立保育士は上記の通り経験が7~9年ある保育士は、年収約349万円です。
それに対し公立保育士は、同じく経験が7~9年ある保育士の年収は、
約423万円で月給は約30万円です。
同じ勤務歴ですが、月収、ボーナスの平均額は私立保育士よりも公立保育士の方が高いです。
保育士の需要や将来性は?これからの保育士についてご紹介!
結論、保育士の需要は高く将来性のある職業と言えます。
都市部を中心として、待機児童は社会問題とされており、2021年4月の段階で約6千人の待機児童がいると発表されています。
その中で、国や自治体は新子育て安心プランを実施し、保育の受け皿を広げるなど、待機児童の解消と保育士の就業率を上昇させるための施策を取っています。保育士の確保をするためにも保育士が生涯働くことが出来る職場環境をつくることを推進し、保育士の魅力を広く発信しています。
そして、世の中の多くのモノがAI化されはじめ、将来AIに職業を奪われる人もいるかもしれないこの世の中で、子どもを保育する保育士がAI化する可能性は低く、
子どもの体調や成長に合わせた保育サービスの提供など、より専門性を問われる時代になるでしょう。
そのため、これからも保育士の需要は高く将来性もある職業だと言えます。
保育士の就活や転職でのニーズについて徹底解説
現在、東京都では約3700件の転職の募集があります。その中でも新卒の方向けの募集も約370件あり、募集件数の多さから保育士のニーズの高さが分かります。
保育士を募集している保育園の月給は、だいたい20万円~30万円で、経験者を優遇している園が多いことから、即戦力になる人が求められているようです。
保育士と幼稚園教諭の違いは?待遇の違いや働き方までご紹介!!
保育士と幼稚園教諭は保育園、幼稚園の制度や目的の異なりから、働き方が大きく異なります。
まずは、それぞれの制度、目的の違いをご紹介します。
資格の種類
保育士:保育士資格(取得後更新の必要なし)
幼稚園教諭:幼稚園教諭免許(更新期限あり)
保育対象年齢
保育士:0歳~小学校就学前
幼稚園教諭:3歳~小学校就学前
目的
保育士:保育を通して基本的生活習慣、社会性を身に付けさせる
幼稚園教諭:年齢に合わせた環境で子どもを教育し就学の準備をする
このように保育園と幼稚園では制度、目的に違いがあります。
では、働き方にどのような違いがあるのかご紹介します。
子どもたちの標準園在時間
保育園:8時間(延長保育などある場合はもっと)
幼稚園:4時間
・休日
保育園:週休2日
幼稚園:夏・冬休みなどの長期休み
正社員の場合、保育士、幼稚園教諭ともに勤務時間は8時間ですが残業時間が多いのは保育士です。
保育園と幼稚園の大きな違いは昼寝時間の有無で、保育士は昼寝時間または園児が降園後に事務作業をするのに対し、幼稚園教諭は園児の降園時間が早いことから事務作業時間が確保できるので結果的に残業も少なくなるのでしょう。
給料
月給、賞与、年収は保育士、幼稚園教諭ともに変わりません。
公立保育士の場合は、幼稚園教諭より高いですが、私立保育士と幼稚園教諭の給料に差はないようです。
今年の保育士試験はいつ行われる?受験資格や申し込み方法などを解説します
前期試験
筆記試験:令和4年4月23日(土)
4月24日(日)
実技試験:令和4年7月3日(日)
後期試験
筆記試験:令和4年10月22日(土)
10月23日(日)
実技試験:令和4年12月11日(日)
受験資格
- 大学を卒業した人(学部学科問わない)
- 大学在学中・中退した人
→大学に2年以上在学し、在学中に62単位以上取得した人 - 短期大学卒業した人(学部学科問わない)
- 短期大学在学中(学部学科問わない)
※年度中に卒業できなかった場合は合格にならない
- 専門学校卒業
学校教育法に基づいた専修学校であること
卒業した課程が修業年限2年以上の専門課程であること - 専門学校在学中
学校教育法に基づいた専修学校であること
現在在学している課程が修業年限2年以上の専門課程であること
※年度中に卒業できなかった場合は合格にならない
- 高校卒業
卒業年月日が令和4年3月31日以前
申し込み方法
- 「受験申請の手引き」を郵送または、インターネットで請求
- 請求により受験の手引きが送付されます。手引き記載の内容を ご確認の上、受験申請書・払込用紙等添付書類を提出。
- 受験申請書の書類確認後、筆記試験の受験表が送付されます。